香港に移住をしたい、住んでみたい。そのように考えている人は日本のなかでも一定数はいらっしゃると思います。
では、実際に香港に住んでみるとどうなのか?このページでは日本から香港に移住し今もなお住んでいるMさんに香港に住んでみたリアルな感想を文章にしてもらいました。
香港に住んでみることを考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
以下、本文です。↓↓
私が香港に関して持っていたイメージは、「夜景がきれい」、「飲茶がおいしい」、という旅行パンフレットの見出しになっている程度のものでした。
旅行先としても訪れたことはなく、遥か昔、飛行機の経由地として1泊したことがあるのみ。
たった1夜を過ごした香港で、私の記憶に残っているのは”エアコンの室外機”でした。
細く高いビルを見上げると、壁には無数の室外機が取り付けられていて、「あぁ今これが落ちてきたら大変なことになるなぁ」と恐ろしく感じたことが記憶に色濃く残っています。
当時はいつかここに住むことになるだなんて想像もしていませんでした。そんな私が現在香港へ来て、1年半が過ぎました。
1年半が経ち、香港に対する思いや印象がどのように変わってきたのかを、綴りたいと思います。
香港生活を始めたきっかけ
私が香港へ来ることになったのは、夫の海外赴任がきっかけでした。
もともと海外とのかかわりが強い部署で働いていたため、近い将来に海外へ引っ越すことになるかもしれないぞというかすかな決意は心の片隅にありました。
しかし当初、会社から打診されていた異動先はアメリカだったのです。
ところが急遽香港支社に欠員が出たことがきっかけとなり、私たち家族の香港行きの話はあれよあれよという間に進んでいくこととなりました。
なるべくすぐに香港へ行ってほしいとの意を受け、夫はすぐに香港へ向かいました。
家族の帯同は3か月後から可という社内の規定があり、私は日本に残り、引っ越しの手続きなど今後の生活に向けての準備をはじめました。
そしてバタバタとしている間に3か月が経ち、私の香港生活がスタートしました。
香港に住んでみて好きと感じた部分
香港に住んでみて、今感じる好きな部分を紹介します。
困っている人を見たらほっておけない
夫が香港へ行き、私は日本で引っ越し準備を行っていた頃、妊娠していることが分かりました。
もちろん嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、初めての出産を海外ですることになるかも、という不安な気持ちは多少なりともありました。
結果私は香港で出産をし、現在はこちらで子育てをしているのですが、香港人は困っている人を見たらほっておけないという心優しく、そしてちょっとお節介なタイプが多いと感じています。
特に香港のおばちゃんは、世話好きな方が多い印象です。
妊娠中、例えば電車に乗り込むとすぐに誰かが席をゆずってくれ、「すぐに降りるから大丈夫ですよ、ありがとう」と言っても「いいから!座って」と促されます。
妊婦だけでなく、足が悪い人や高齢の方などがいらっしゃると、みな快く席を譲っている姿をよく見かけました。
困っている人がいたり、手助けが必要な人がいれば、すぐに行動を起こす人が多いという印象です。
香港で何か困ったことがあったら、周りの人にヘルプのサインを送ってみてください。
きっとお節介な香港のおばちゃんがサッと現れ、助けになってくれると思います。
食べるときはワイワイ賑やかに
香港人は外食が大好き。共働きが多いライフスタイルにより、自炊を全くしないという人も多いそうです。
週末の朝には、おじいちゃんおばあちゃんから孫までが集まり円卓を囲んでワイワイ楽しそうに飲茶をしている光景をよく目にします。
みなよく笑い、よく食べ、本当に楽しそうです。
飲茶は色んな種類を食べるのが醍醐味なので、大人数で楽しそうだなぁと私たち3人家族は羨ましく思うのです。
香港では相席が当たり前なので、隣り合わせた地元の方におすすめ料理を聞くのも、新しい味に出会えて楽しいものです。
細かいことは気にしない
私が香港に来た季節は春。段々と気温が上がるのに連れて、街で目にするようになったのが上半身裸の男性たち。
街中だけでなく、電車の中で裸で吊革につかまるツワモノまでいるのです。
最初見たときは少し驚きましたが、周りは誰も気にしている様子がありません。
「暑いから脱ぐ」、自分がそうしたいからそうする。という自由さがあふれる香港の街に暮らしていると、本来周りが気になるタイプの私も、肩の力を抜いて生きられていると感じるのです。
香港のなじめない部分
実際に住んでみて馴染めない部分もあります。
エレベーターの「閉」ボタンを連打する人々
香港人は往々にしてせっかちな人が多いように思います。それを実感するのがエレベーターの中です。
乗り込むや否や「閉める」ボタンを連打します。1度押すだけでいいのではと思うのですが、連打している人をよく見かけます。
夫の会社のエレベーターは、押しすぎにより閉ボタンが故障してしまったのだとか。
嘘のような本当の話です。
とはいえ基本的に優しい香港人。
「乗ります!」という意思表示をすれば、きちんと待ってくれますのでご心配なく。
きれいな女性もゲップ
香港ではゲップはマナー違反ではないそうで、エレベーターの中のような狭い空間でもゲーッという大きなゲップ音に驚くことがあります。
もちろん生理現象なので出てしまうこともあるでしょう。
しかし香港で耳にするゲップ音は清々しいほどの大音量なのです。
このゲップにはいまだ慣れることができないままです。
「ハァ?!」
香港の人々は、尋ねられたことが聞こえなかったときの聞き返しや、分からない状況の時に「ハァ?!」という相槌をよく使います。
私はタクシーの運転手さんによく「ハァ?!」と言われてしまいます。
もちろん香港の人々にとっては、不満の気持ちを表しているのではなく、分からないよという相槌でしかありません。
でもこの「ハァ?!」を聞くと少し恐縮してしまう自分がいます。
同じように舌打ちもよく耳にしますが。こちらも深い意味は無いようです。
香港に抱いていた理想
香港について何の知識もなかった私は、香港の物価の高さを知らぬままこの地に住み始めました。
安くて美味しいものばかりの美食の街、香港。というイメージを持っていたのです。
週末は家族で毎週飲茶もいいな~、せっかく香港に来たのだから美味しいお店にたくさん行くぞ、という理想を抱いていました。
しかし、手ごろな値段で食べられるというイメージの飲茶も、意外にお会計をしてみるとびっくりしたり・・・。
徐々に香港の物価水準に慣れてはきましたが、やはり外食は高めという印象です。
香港での生活を考えている方は、食費の予算アップに少し戸惑うかもしれません。
香港の便利なところ
物価が高い香港の中で、安いと感じるのが交通費です。
タクシーの初乗りは、地域差も多少あるようですがHK$24(約330円)。
香港島と九龍をつなぐフェリーや、地下鉄、バスも非常に手ごろな値段で利用することができます。
どこへ行くにも交通の便がよく、移動の便利さを実感することが多いです。
ただタクシーの運転手の方に英語が通じないことはよくありますので、広東語で住所をメモしておいたり、スマホの地図表示を広東語版にしておくとスムーズです。
香港に住んでみてまとめ
香港に住んでみて、現地での感想としては
- ・香港人は世話好きなタイプが多く、困っている人を見ると声をかける人が多い。
- ・外食の頻度が高く、レストランでは混みあってくると相席となる。
- ・香港においてゲップはマナー違反ではないとされているので、街中でよく耳にする。
- ・物価は高いが、タクシー・バス・フェリー・地下鉄などの移動費は安く済む。
と、いったところでしょうか。
来た当初は、賑やかすぎるほどに感じるこの街に馴染めるのか、少し不安な気持ちもありました。
今ではこちらでの生活にもすっかり慣れ、香港生活を楽しむことができています。
不安に思っていた言葉の面も、こちらでは多くの場所で英語が通じるため、広東語が分からなくても日常的に困ることはないというのが私の感想です。
レストランのメニューも英語表記があることが多いですし、街中の標識なども英語が併記されています。
もちろんローカル色の強い場所やレストランでは、英語が通じないことのほうが多いので、もっとディープな香港を知りたいという方は広東語の習得が不可欠だと思います。
香港の街を歩いていると、色々な人種の人が多く暮らしていることに気が付きます。
受け入れの窓口がオープンな香港は、外国人である私たちを寛容に迎えてくれますよ。
私の香港での日常を綴ったこの文章が、香港での生活を考えている方の少しでも参考になれば幸いです。