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海外移住先として人気のアジアの国といえば、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール。そして最近は台湾を移住先に選ぶ日本人も増えています。では、なぜ香港?

旅行で香港に来て、その魅力にとりつかれた。アジアのほかの国に比べて治安がよさそう、香港を足がかりにして、キャリアアップし、世界に羽ばたくビジネスマンになりたい、節税目的、などなどいろいろな理由があると思います。

でも、そのために必要になるのはビザ。香港に住むというだけであれば、90日ごとに出国すればビザは不要です。しかし、移住ということになれば、投資ビザか就労ビザのどちらかを取る必要があります。

ビザの種類については
ここ→(香港に住みたい!香港移住に必要なビザ、まとめてご紹介します。)
をご覧いただくことにして、今回は就労ビザについて、また就労ビザを取るために欠かせない、仕事の探し方についてご紹介します。

就労ビザについて

香港ビザ
就労ビザを取得するための要件は

  1. ①申請者に犯罪歴や入国拒否の記録がないこと
  2. ②申請者がビザ取得にふさわしい学歴があること
  3. ③雇用先に申請者が必要な正当な理由があること
  4. ④雇用先に申請者が就業するための空きポストがあること
  5. ⑤申請者の給与、待遇が専門職として香港で標準的な水準を満たしていること



②の学歴については、一応大卒以上となっていますが、高校、専門学校卒でも、専門的な技術、資格、知識、能力、業務に十分な経験を持っていれば受理されます。ですので、ここで一番重要になるのが、③の要件です。

雇用先に申請者が必要な正当な理由とは

これはつまり、「この人のこんな技術、資格、知識、能力、経験が必要だから雇いたい」という理由です。

以前は「日本語ができる」ということが、ある意味で、特別な技能だったりしたので、比較的簡単に就労ビザが取れたのですが、今では香港人でも日本語がペラペラだったり、永住権を持っている日本人も多いので、日本語ができるということだけで、仕事を探すのはかなり難しいと考えたほうがいいと思います。

逆に言えば、日本人にしかできない専門的な技術や経験があれば、ビザは取れます。例えば、日本語教師、美容師、調理師などの資格を持ち、実務経験があれば就職先も見つけやすいし、ビザも取りやすいです。ただし、資格を持っているだけではダメなので、大学、専門学校を卒業したばかりの人は、やはり日本で実務経験を積むことが必要です。

実務経験の長さですが、大卒なら5年、高校、専門学校卒なら10年と言われていますが、すべてケースバイケースで、日本での実績を証明することができれば、卒業後、まもなくてもビザが下りることもあります。

それを考えると、日本での経験が大きくモノを言うことを心に留めておくことが必要です。日本で安易に腰掛け的な仕事をしているのと、香港でどんな仕事をしたいかを念頭に置いて仕事をしているのとでは、香港での就職活動に大きな違いがでてきます。

仕事先の探し方―日本または香港の求人サイトを使う

パソコンで調べる

日本で働きながら、香港での就職活動に便利なのが転職エージェントサイトです。「海外求人、エージェント」などの検索で多くのエージェントが見つけられます。何と言っても、登録は無料で就職情報が集められるのが魅力です。

香港で働くには、次の2つのパターンがあります。

  1. ①日本の会社の駐在員として働く
  2. ②現地の企業に採用されて働く



駐在員は、香港では最も重要な住居手当が支給される場合が多く、医療保険などの福利厚生の充実度や、給料も現地採用より高い傾向がありますので、チャレンジしてみたいポストです。しかし、「とにかく香港の就労ビザを取りたい」というのであれば、香港のエージェントを探して登録するのもおススメです。

エージェントを通しての就職活動の一般的な流れは
登録→エージェントとの面接→応募→応募企業との面接→内定→ビザ取得→香港に出発
となります。

その過程でエージェントから、履歴書の書き方、面接に関するアドバイス、条件交渉いったいろいろなサポートがうけられるのが普通です。

エージェントによって得意な分野がありますから、さまざまな転職エージェントに登録して、比較しながら仕事探しをするというのが、上手な使い方です。

香港の情報誌、ネットの求人広告を使う

香港には日本人向けに、日本語で書かれた情報誌・フリーペーパー、WEBサイトがたくさんあります。そこには必ずと言っていいほど、日本人向けの求人記事が出ていますので、それを利用して仕事探しをすることもできます。

日本にいながら、アクセスできるのはネットですが、実際に応募し、面接を受けるとなると、やはり香港に滞在していた方が有利ですので、香港での実際の暮らしを体験するためにも、一度香港に足を運んでみて、現地ではどんな需要があるのかを調査するのも、仕事探しの1つの方法でしょう。

とりあえず香港に行って、飛び込みで応募

香港空港

既に日本で美容師や調理師などの資格を持っている人や、ある分野での実務経験が豊富な人は、とりあえず香港に行って、自分を売り込むことも可能です。実は、私はこれで最初の雇用先を見つけました。

大切なのは、今の自分に何ができるかを売り込むための履歴書を作成すること、日本人がいない企業もターゲットにすれば、可能性は広がりますので、英文の履歴書、英語で面接が受けられる程度の英語は習得しておいたほうがいいです。

30歳未満の人はワーキングホリデービザで香港に行き、仕事を探して、その仕事先から労働ビザを申請してもらうということも可能です。

現地採用される場合の注意点

香港滞在中に現地採用された場合、気をつけなければならないのは、就労ビザが交付させるまでは働けないということです。その知識がない雇用主から、ビザを待っている間も働いてくれと言われるかもしれませんが、それをすると不法労働となり、逮捕、収監といった結果になることもあります。

また、こちらから飛び込みで応募して、受け入れられても、雇用先がビザの代行業者に手数料を払ってまで、就労ビザを取ってくれることは、まずないと思います。採用される側が、就労ビザ申請のための書類を揃えて、雇用先のサインをもらって申請、といった流れになることもあります。

また、一度申請に失敗すると、それ以降ビザが取りにくくなるという話もありますので、心構えが必要です。

基本的にはビザの申請は雇用主の責任ですが、そこまでしても雇うのはと渋られた場合や、雇用主がはじめて就労ビザの申請人になる場合などは、費用を折半にしても代行業者に依頼するよう交渉したほうがいいかもしれません。

現地採用、気になる給料は?

現地のエージェントに登録して、雇用される場合は応募する際に、自分の技能や能力に見合った仕事を紹介されることが多いので、ある意味で自分に見合った給料をもらえると言えます。ですので、日本での実績が評価されて初任給が3万ドル以上ということもありますが1.5万~1.8万ドルからスタートするのが一般的です。

自分から飛び込んで雇用された場合は、ある意味で雇用主の言い値で働くことになりますが、就労ビザの条件に「申請者の給与、待遇が専門職として香港で標準的な水準を満たしていること」というのがありますから、上にあげた給料の額より極端に低くなることはないはずです。

それにしても、やはり住宅手当がなく、医療保険も自分持ち、税金も自分の給料から払わなければならないことを考えると、決して条件がいいとは言えないのではないでしょうか?

香港でキャリアアップ

ビジネスマン

上でお話しした通り、現地採用で働くことができても、給料や待遇がいいとは言えないことが多いかと思います。そこで考えなければならないのは、どのようにしてキャリアアップするか、ということです。

昔は終身雇用制が常識だった日本ですが、最近は働き方に対する考え方も変わって来ました。しかし、香港と比べると、まだまだ会社に対する忠誠心が強く、1つの会社で上司に評価され、キャリアアップしていくというのが一般的ですが、香港では転職を繰り返してキャリアアップしていく人が多いです。

香港人は仕事に関しては非常にドライで、仕事に個人的な感情は持ち込まないのが普通ですので、「恩になった会社を裏切りたくない」というような理由で、1つの会社に長く留まる人を評価してはくれません。

転職は、昇給やキャリアアップに直結します。転職がポジティブにとらえられる香港で働いているのですから、積極的にその環境を活かしていきましょう。また、香港で働きながら、人脈を広げ、自身の会社を立ち上げ成功する人もいます。転職だけにこだわらず、常に周りにアンテナを広げることが将来のキャリアアップにつながることは間違いありません。

香港のビジネスパーソンがキャリアアップを目指すため、やっていること

  1. ①人脈を広げる―俗に言うコネですが、日本でも香港でもやはり重要です
  2. ②大学院に通い修士を取る/業務に関連した資格を取る
  3. ③英語、普通語(中国語)をマスターする

まとめ

いかがでしたか?就労ビザをとるには、日本で大学を卒業、または専門的な技術、資格を身につけて、実務経験を積むことが第一歩です。

海外に強い就職エージェントに登録して、駐在員として赴任するのが、給与、待遇の面から考えると理想かもしれません。しかし、組織より個人の実力を重視し、ビジネスにはドライな香港の環境を活かせば、香港でキャリアを築くことは、決して難しくないはずです。それを考えると、とりあえず香港で仕事を見つけ、現地でキャリアアップを図ることも決して悪い選択肢だとは言えません。

なぜ香港でなければならないのか、香港で就労した場合、仕事と生活のバランスをどうとるかを考慮して、自分に合った仕事先を探しましょう。

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