香港 俯瞰

世界でもトップレベルにあると言われる日本の社会保険制度。

海外に移住する際、心配なのは移住したら日本の保険はどうなるか、移住先の保険はどうかということですね。

そこで、今回は特に気になる「医療保険」について調べてみました。

なお、日本で個人的に加入している医療保険については、保険会社によって対応が違いますので、ご自身でご確認ください。

香港の健康保険について

医者 問診

国民皆保険制度の是非はともかく、日本人は全て公的医療保険に加入していますが、香港にはそんなありがたい制度はありません。

従って、基本的には全額本人負担になります。

医療機関もイロイロ(詳しくは「ちゃんと知りたい香港の医療制度」をご覧ください)なので、一概に高額とは言えないんですが、やっぱり何かあったときのためにも、健康保険はあった方が安心ですよね。

ではどんな選択肢があるか、見てみましょう。

日本の国民健康保険/社会保険(健康保険など)の海外療養費制度を使う

保険 包帯

とりあえず香港に住んでみたいという人にとっては現地の医療保険より、この制度+海外旅行傷害保険に加入というのが現実的かもしれません。

日本の健康保険を使うとき、一番大切なのは香港で治療を受けた日に、国民健康保険/健康保険組合の保険が有効であることが必要だということです。

つまり、移住前に国民健康保険に加入していても、海外転居届けを出してしまった場合や、退職に伴い勤務先を通じて加入していた健康保険の資格を喪失した場合、この制度は使えません。

日本の健康保険の自己負担額は原則3割で、この制度を利用すれば7割が払い戻される計算になりますが、次のことに注意する必要があります。

例として、盲腸(虫垂炎)で入院して手術になったとします。あくまでも例ですので、金額は気にしないでください。

日本で入院、手術した場合の総費用が40万円だった場合、本人負担額は12万円。

香港の有名私立病院で、同じ治療をして、80万円かかった場合、払い戻しを受けられるのは24万円ではなく、12万円です。これは治療費の計算は、日本で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費(40万円)を基準として行うためです。

これと同様に日本で保険の対象となっていない治療も、保険給付の対象にならないため、払い戻しは受けられません。

逆に、例えば、香港の公立病院で同じ治療をして、11万円しかかからなかったら、12万円払い戻されるかというと、もちろんそんなことはなくて、11万円の3割が払い戻されます。まあ、当然といえば当然ですが、、。

ほかに注意しなければならないこと

  • • 受診後、2年以内に払い戻し請求をしなければならない
  • • 医師が記載した診療内容明細書、受診費用総額が記載された領収書を提出する必要がある
  • • 払い戻し金は申請2〜3ヶ月後、日本の銀行口座に振り込まれる(海外に送金は不可)

健康保険組合、社会保険事務所*により、個々の対応は異なりますので、詳細は加入している組合、事務所にお問い合わせください。

海外旅行傷害保険に加入する

入院 女の子

海外旅行保険に関しては、クレジットカードに自動付帯しているものから、電話一本で、担当者が自宅までお迎え、病院に付き添い通訳もしてくれても、キャッシュレスというものまで、イロイロな商品がありますので、詳しいことは旅行保険の選び方について書かれたサイトを参考にしていただくことにして、医療保険として使う際に注意しなければならないことについてお話しします。

既往症の治療は保険が適応されない

移住前、日本で発病した病気にはもちろん保険は適応されません。

長期治療が必要な慢性病にかかった場合、治療を開始してから180日を過ぎると保険の適応外になり、その後は全額自己負担になります。

風邪や食中毒などで、通院した後、一度完治していれば、また同じ病気にかかった時の治療は保険適応となりますが、糖尿病やアレルギー、リウマチなどの慢性疾患にかかって治療を受けた場合、初診から180日で保険が打ち切られます。

アレルギーなどのように、よくなったり、悪くなったりを繰り返すような場合や、投薬でコントロールしていた症状が、突然悪化して手術が必要になった場合でも、その疾患が慢性病だと見なされれば、180日を過ぎると保険の適応外になります。

海外旅行傷害保険は会社により、ルールも対応も本当にマチマチですので、加入を考慮している人は補償内容や条件と保険料をしっかりとチェックする必要がありますね。

参考サイト:
国民健康保険ガイド http://www.kokuho.info
健康組合連合会 けんぽれん http://www.kenporen.com
FORTHホームページ http://www.forth.go.jp/useful/attention/index.html

会社の福利厚生の一環として医療保険が含まれている場合

面談 

日本から駐在員として派遣されている場合、会社が法人向けの医療保険に入ってくれているので、それを利用することがほとんどだと思います。

会社の保険があるから大丈夫だと安心してしまわず、一応どんなことが保険でカバーされるのか、確認してみましょう。

私立病院の場合、保険会社が契約している病院しか使えないことがありますし、健康診断など使えるサービスなのに、意外と知らなくて利用しない場合があるかもしれません。

香港に拠点を持つ会社の医療保険に加入する

香港 旅行

これについて、ネットで情報収集していたところ、「WellBe」という社名をよくみかけました。詳しくはWebサイトを参考にしていただくとして、海外進出した日本企業のためのリスクマネジメントを提供している会社のようです。

サイトを見てみると、法人を対象としているように見受けられましたので、香港に進出している企業のいくつかが、この会社からサービスを受けているようでしたが、現地採用されている個人がサービスを受けられるかどうか、メールで問い合わせてみたら、次のようなお返事をいただきました。

弊社サービスは基本的には法人様向けのサービスとなりますが、
現地採用の方や永住されている方に対しては個人契約も承っております。
香港の場合は、弊社拠点がございますので、個人向けサービスも承っております。
回答は以上となります。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡下さい。

WellBeホームページ:http://www.wellbemedic.com

ということで、香港の場合は現地採用の日本人も加入できるということですので、興味がある方は、直接お問い合わせください。

問い合わせに対しても速攻で返答をいただけたのと、日本語でやりとりができたのがメリットだと思いました。

この会社のほかにも、個人を対象にした医療保険を扱う外資系保険会社はたくさんあります。

私自身は、知り合いの日本語が話せる香港人が勤めているイギリスベースの香港の保険会社の医療保険に加入していました。

外資系保険会社でも日本語が話せる外交員の人が結構いて、会社にセールスに来ることもありますが、香港で医療保険を扱う会社はあまりにに多くて、ここには書ききれないのと、基本的にはサービスの確認、請求のプロセスとも広東語や英語になることが多いので、今回は省略することにして、それらの保険会社を取り扱う日本語が通じる日系企業のサイトのみご紹介します。

110(ワンテン)香港 http://insurance110.com.hk

まとめ

香港 夜景

いかがでしたか、会社の福利厚生として医療保険が利用できない人は、自分の身は自分で守る心構えがいりますね。

もし、全額自己負担になっても、公立病院を利用すれば、とても安価で治療してもらえることも事実です。

しかし、転ばぬ先の杖、自分が病気になったとき、どんな医療を望むのか、真剣に考えて自分に合った医療保険を選びましょう。

関連記事