2017年9月に第一子となる息子を香港で出産しました。
出産前の健診から出産後までの流れを、自身の体験を交えながら書いていこうと思います。
産前産後についての香港の医療制度もご紹介いたします。
妊娠が判明
香港へ来る少し前、妊娠をしていることが分かりました。
初めての妊娠のため家族には日本での出産を勧められましたが、香港での出産経験がある方にお話を聞いたり、情報を調べていく中で香港の医療制度の充実ぶりを知り、公立病院での出産を決めました。
公立病院において、香港ID保持者は一律料金で治療を受けることができます。
私はID申請から取得まで約2か月ほどかかったので、その間は私立のクリニックにて妊婦検診・検査を行っていました。
私立の病院やクリニックは、予約時間通りに診察してもらえることが多いのでほぼ待ち時間がありません。
しかしその費用は高額で、検診1回に付き1500~2000香港ドル(約2~3万円)ほどかかっていました。
香港のクリニックは地域によって治療費差が大きく、中心地にあるクリニックは高い傾向があるようです。
新界エリアでは比較的料金も手頃とのことなので、クリニックを探しておられる方は新界エリアも候補に入れてみることをおすすめします。
公立病院での妊婦検診
無事香港IDを取得し、やっと公立病院にて出産予約を行うことができました。
予約に必要な書類等は病院HPにて確認することができます。
出産予約の次は、母子健康院へ出向き、登録を行います。
妊婦検診は出産する病院で行われるのではなく、この母子健康院という場所で行われます。
基本的に検診は1か月に1回のペースで行われ、検尿、体重測定、血圧測定に加え、看護師との問診があります。
検尿についてはその場で採尿することも可能ですが、できれば自宅にて適当な容器に入れて持ってくるようにという指示がありました。
そして持参した尿に、検査紙をつけるということも自分で行います。
体重測定、血圧測定も自分で行い、結果を紙に記入して看護師に手渡します。
検診時間は予約にて決められていますが、待ち時間は長く、受付~診察終了まで3時間程度かかる場合もあります。
日本では毎回行われるエコー検査も、母子健康院では触診が基本となり、何か心配な点があるという場合のみエコー検査が行われるようです。
特に問題がない場合は、この母子健康院にて妊娠後期まで検診が行われます。
後期になると検診の回数も増え、公立病院での検診にて医師の診察がありますので安心です。
公立病院での出産
公立病院で出産した際の状況はこんな感じでした。
予想外の出産日
私が息子を出産したのは、予定日より約1か月早い37週でした。
37週の検診において、胎児の健康状態に少し不安な点があるため出産を人工的に早めた方がよいとの話があり、検診後そのまま入院となりました。
突然のことでかなり動揺しましたが、結果その日が息子の誕生日となりました。
私のベッドは6人部屋にあり、母子同室でした。
赤ちゃんはコットに入れられ、母親のベッド横に置かれます。
授乳回数、おむつを替えた回数等を記入する必要があり、看護師がその用紙をみて指導を行ってくれます。
公立病院での入院時には、自分と赤ちゃんの身の回り品を準備する必要があり、オムツやおしりふきも持参したものを使用します。
やれることは自分で
公立病院では、やれることは自分でやってくださいというスタンスです。
入院着やシーツが汚れたら自分で取り換える必要がありますし、基本的に産後すぐから赤ちゃんのお世話は母親が行います。
もちろん分からないことや心配な点は、看護師さんに尋ねればアドバイスしてくれますので心配ないですよ。
厳重なセキュリティ
私が出産した公立病院では、面会時間が午前と午後にそれぞれ1時間設けられていました。
1度に面会できるのは2人までと決められており、病棟に入る前に確認されます。
赤ちゃんの取り違えを防ぐシステムも厳重で、1日のうちに何度も赤ちゃんの出産時の情報(出生体重・出生日・出生時間)を暗唱するよう言われ、赤ちゃんの手首と足首についたリストバンドの情報と合っているか確認されます。
コットには両親と赤ちゃんの写真が貼られているので、視覚的な確認も随時行われています。
赤ちゃんを病室から出す際は、それが母親であってもコットに必ず入れる必要があり、抱っこで病室を出ることは禁止されています。
私は息子が夜中に泣き止まず、あやすために病室の外に出た際に注意を受けました。
出産時の情報は入院中何度も確認されるため、忘れないようメモを取っておくと良いかもしれません。
公立病院の食事
質素だと聞いていた食事ですが、基本はお粥、薄味の湯で野菜、スープ、フルーツが提供されました。
地元の方は病院での食事は断り、家族に食事の差し入れを頼んでいる方が多かったように感じました。
香港では体を冷やすのは良くないという考えから、レストランでも水の代わりにお湯が提供されます。
それは病院でも同じで、ベッド横にポットが置かれており、毎朝お湯を入れてくれました。
なかなかハードな出産後
公立病院では、通常分娩は1泊2日、帝王切開は2泊3日で基本的には退院です。
退院をしたら数日以内にに赤ちゃんの検診を受けるために母子健康院へ行く必要がありました。
検診に加え、香港での出生登録を期間内に行う必要がありますので、香港での産後は少しハードかもしれません。
予防接種
香港での予防接種は月齢ごとにスケジュールが決められており、無料で受けることができます。
予防接種と検診が同日に行われ、看護師との問診において丁寧な育児指導をしてくれます。
外国人には英語で対応してくれますので、広東語が分からなくても心配ありません。
パンフレット等もすべて英語版を準備してくれるので安心です。
香港での育児
香港での育児事情についてご紹介します。
政府の無料プレイルーム
香港では、室内で子供たちが遊ぶことのできるプレイルームが充実しています。
政府が管理している公共のプレイルームは各エリアにあり、図書館やスポーツセンター等の施設に併設されていることが多いです。
1時間ごとに清掃が行われ、衛生管理もしっかりされていますし、1度に入場できる人数を制限していますので安心して遊ばせることができます。
お住まいの近くにもきっと無料プレイルームがあるはずですので、是非チェックしてみてください。
子育てを支えるヘルパーさん
プレイルームへ子供を連れて行くと、そこで多くのヘルパーさんを見かけます。
香港では共働きが基本であるため、家事や子供の世話は住み込みのヘルパーさんに任せているという家庭がとても多い現状があります。
彼女たちの休みは基本的に日曜のみで、雇い主の家で生活を共にしています。
仕事とはいえストレスも多いだろうと想像しますが、明るい性格の方が多く、子供への接し方もとても上手で見習うべきことがたくさんあります。
英語が堪能な方が多いですので、プレイルームなどで話しかけてみると英会話の練習にもなって良いかもしれません。
私は日本で子育てをした経験がないので比較することはできないですが、香港は非常に子育てがしやすい場所だと感じています。
香港人は子供好きな人が多く、街中でもたくさんの人が話しかけてくれます。
例えば冬の寒い日には、「靴下を赤ちゃんに履かせてあげて!」とか「もう1枚服を着せたら?」など子育ての先輩たちからアドバイスをいただいたり。
スーパーマーケットでは、買い物かごを運ぶのを手伝ってくれる人がいたりと、香港の人々に助けられながら子育てをしています。
制度の充実のみではなく、子供に対して社会が優しいことが、香港で子育てをする上で感じている温かさなのだと日々感謝しています。
香港での出産と育児のまとめ
香港での出産については以下のような事が言えると思います。
- ・香港の公立病院での出産は1万円以下(ID保持者)だが、入院は大部屋で自分のことは自分でやるスタンス。
- ・香港の私立病院での出産は100万円以上だが、個室が基本で、快適なサービスが受けられる。
- ・子供に寛容な人が多く、子育てはしやすい環境です。高温多湿の香港でも快適に遊べる室内無料プレイルームが充実している。
- ・香港では、住み込みのヘルパーに家事・子育て全般を任せ、共働きをしている家庭が多い。
馴れない海外の地で出産という事だといろいろと不安なこともあるかと思いますが、香港は比較的医療も発達しておりバックアップ体制も整っております。
子育てに関しても、あまり心配する点はないといえそうです。